櫻井よしこ『言語道断』

中国・ロシア・北朝鮮・韓国など、反日諸国に囲まれた日本はこれからどうすればいいのか、そして自分にいったい何ができるのか━━。解決の糸口を求めて、このところ手当たり次第に本を読んでいる。


週刊新潮』への寄稿文をまとめた櫻井よしこの『言語道断』もそのひとつ。


 本書のテーマは多岐にわたるが、なかでも特に気になったのが日本の原発政策である。

最近でも、原発処理水(汚染水)の海洋放出や 核燃料サイクルの実現性、最終処分場選定調査など、原発問題の議論が活発化しているが、櫻井よしこ原発政策の根本的な問題点を指摘する。

 

その問題点とはすなわち、原子力規制委員会の専門家集団としての能力が世界水準に達していない、ということである。

これは驚くべきことではないか。

原発を規制する側の専門能力が世界レベルに達していないとは! あれだけ大事故を起こした日本において、能力不足の「専門家」が危険な原発を差配しているのだ。

 

国際原子力機関IAEA)は日本の原子力規制委員会について「規制委の人的資源、管理体制、とくにその組織文化は初期段階にある」、「課された任務を遂行するのに能力ある職員が不足している」と厳しい評価を下している。

櫻井よしこも「規制委員会が事実上差配する原発行政は到底評価できない」と容赦なく切り捨てる。

規制委の恣意的な規制が現場に極端な混乱をもたらし、不必要な「安全対策」によってかえって原発の安全性が脅かされるという。

 

もしかすると原子力規制委の専門家としての能力不足は氷山の一角で、日本全体で「専門家」「研究者」「学者」と称する人々の能力低下が水面下で進行しているのかもしれない。


日本学術会議や左派系学者のいい加減な言動など、その兆候は至るところに見て取れる。人材不足・能力低下は、国力の低下・国の衰退に直結する。考えるだけでも恐ろしい……。

 

国の衰退に歯止めをかけるためにも、教育はきわめて重要だ。

左翼勢力に支配される日教組や、子どもたちに自虐史観を植え付ける教育の現状を何としても変えねばならない。 

教育について、 櫻井よしこはこう語る。

 

『初等科國史』は、白鳥庫吉昭和天皇の教科書として書いた『國史』同様、日本の歴史を歴代天皇を軸に書いている。この両書は、これから世界に羽ばたこうとする野心的な人々にこそ勤めたい。なぜなら、もはや止めようのない経済のグローバル化の中で、日本らしさや日本の価値観はいやおうなく殺ぎ落とされていくからだ。しかし、国々のひしめき合いの中で日本人としての特性を失えば、敗北の道しかない。日本的感性や価値観を大事にし、それを強さとすることによってのみ、私たちは敗北を回避できる。
 

言語道断

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