嵯峨大念仏狂言を拝見するのは4年ぶり。
あのときは、修復を終えた清凉寺狂言堂のこけら落とし公演でした。
(そのときの拙ブログ記事はこちら↓)
ayaexcalibur.blogspot.com
《船弁慶》は二場形式になっていて、前半は義経と静御前の別れ、後半は平知盛の亡霊との激しい対決を描く、メリハリの利いた人気番組です。
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも《船弁慶》の場面が出てくるかもしれませんが、そういう意味でもタイムリーな上演ですね。
まずは、主人公の義経が登場します。
浅葱色の狩衣が爽やかなイケメンです。
(後半の斬り組での太刀さばきもカッコよかった!😊)
武悪の面をつけた弁慶と義経です。
頼朝に嫌疑をかけられ、追われる身となった義経一行。
流浪の身となった義経に静御前は付き添ってきましたが、弁慶は静を都に帰すよう、義経に進言します。
静御前が登場。
その艶姿に、幕から姿を現した瞬間から舞台がパア~ッと華やぎます。
立ち居振る舞いも嫋やかで、うっとりと見入ってしまう
長刀を持つ姿がどこか巴御前っぽい。
女役は帯を前結びにするのが、念仏狂言独特の着付けのようです。
最後の酒宴。
「ずっとおそばにいたい……」と懇願する静を、説き伏せる義経。
愛しあう男女の悲しい別れ。
無言劇でセリフはないのですが、見つめ合う二人のあいだから繊細な情感が漂ってきます。
(無言劇なので、足を「ドン」と踏み鳴らして合図を出しながら次の所作に移り、息を合わせていくのですが、間合いの取り方などが見事でした。)
追いすがる静を、グッと制する弁慶。
モーガン・フリーマンのような役どころ。
船に乗り、瀬戸内海に漕ぎ出した一行。
舞台の縁を船端に見立てて、船頭が櫂を漕いでいます。
お能では船の作り物が出るのですが、念仏狂言では最小限の小道具(ここでは櫂だけ)しか使わない。
極限までそぎ落とされたミニマムな演出で、こういうところが日本らしくで好きだなあ。
沖へと進むにつれて、黒雲が立ち込めてきました。
荒れ狂う高波に船が激しく揺れ動きます。
と、そのとき━━。
行く手の海上に現れた白い影。
壇ノ浦で海の藻屑と消えた、平知盛の亡霊です!
弁慶の法力と義経の剣術で立ち向います。
平家の怨霊との壮絶なバトル!
「鬼滅の刃」も真っ青の、激しい斬り組。
カッキーン!
うぅっ! や、やられた~!
と思ったら、復活~!
さすがは亡霊。
一度死んでるから、そう簡単には死にません。
このあとも、斬られるたびに何度も復活。
こういうところも、「鬼滅の刃」の鬼っぽい。
とはいえ、義経&弁慶コンビは強い!
義経が最後の一撃をふるうと、弁慶の法力でトドメ~。
波間に揺られながら消えていく知盛の亡霊。
滅びゆく者の悲哀。
この最後がよかった!
頭の後ろに刀を置いて両手で支えるしぐさも、お能と同じ型。
能の型を踏襲しつつも、念仏狂言独自の演出もあり、とても見応えがありました。
念仏狂言の魅力にハマリそう😊