秋の京都はいろんなお祭りが目白押し。この日は嵐山の野宮神社で行われた斎宮行列に行ってみました。
斎宮(斎王)とは、垂仁天皇の時代から南北朝期にかけて、天皇の名代として天照大神に仕えた未婚の女性のこと。卜定という占いによって皇女のなかから選ばれた斎宮は、俗世から離れた嵐山の野宮で3年間潔斎の日々を送ったのち、伊勢へと旅立っていきました。
その伊勢への旅立ちの行列を再現したのが、1999年にはじまった「斎宮行列」です。
行列は正午に野宮神社を出発します。神社周辺はすごい人だったので、竹の道で待っていたら、竹林のなかから平安絵巻のような一行が現れました。
斎宮代が乗るのは、屋根に金色の葱の花の飾りをつけた葱華輦(そうかれん)。
竹林のなかを行く姿は、まるでかぐや姫のよう。
行列は竹林を出て、嵐山の市街地を練り歩きます。
コロナ対策でマスク姿なのが残念ですが、命婦や采女など女官たちの装束があでやかで目を引きます。
コロナ前は100人規模の大規模な行列だったのが、近年は5分の1程度に縮小されているようです。
行列の先頭を行くのは、斎宮を伊勢へ送り届ける責任者「監送使」。
聖なる女性に奉仕するため、神馬(白馬)が使われています。
この白馬さん、渡月橋を渡ったころから興奮してきて危険な感じだったのですが、馬子役の方がうまく対処されて、監送使を素早く馬から降ろし、馬を落ち着かせて事なきを得ました。
群集が騒々しく近づいてきたり写真をバシバシ撮ったりするので、お馬さんも興奮しますよね。。。
京都では祭りや神事で馬が使われることが多いから、専門の神馬や調教師さんがいらっしゃるのでしょうか。
髪型や衣装、装飾品などの時代考証も行き届いていて、ヘアメイクや着付けをする人の技術も見事。
こういうところが「さすが京都!」って感じです。
頬のふっくらとしたお顔立ちの京美人は、平安装束がしっくり似合いますね。
うっとりと見入ってしまいました。
渡月橋を渡って、葱華輦から降りたところ。
斎宮代の全身像を見ることのできる瞬間です。着付けも、立ち姿もきれいですね。
ちょっと驚いたのが、過去の斎宮代の装束画像をチェックしてみると、年ごとに装束の色柄が違うということ。
もしかして毎年誂えているのでしょうか? だとしたらとんでもなくお金がかかるんですけど……。
京都っていろんな意味で凄い!
この神事もコロナ前までは、大堰川の船着き場まで斎宮代一行が降りて行って、川の水に手をつけて罪穢を流し清め、その後、舞楽や舞の奉納があったのですが、近年はざっくりカットされ、簡略化されてしまったようです。残念ですね。
なので、今年は斎宮代たちは川へは降りていかず、テントのなかでの御禊の儀となっています。
大麻(おおぬさ)を左右左に振って罪穢を祓います。
斎宮代が人形(ひとがた)で胸を撫で、罪穢を人形に遷します。
罪穢を遷しとった人形を、神職が川へ流します。
さらに(よくわからなかったのですが)、斎宮代が、紙で覆いをした器に息を吹きかけます。
そして神職がこの器を持って川縁へ行き、帰りは手ぶらだったから、器も川に流したようです。
ここでも罪穢を器に遷して、川へ流したのでしょうか?
最後に、桶に溜めた水を柄杓で汲んで、斎宮代が手を浄めます。
何度も何度もいろんな形で心身を浄め、穢れを祓って、いよいよ天照大神の坐す伊勢へと向かいます。