2023年4月30日(日)
日曜日の午後、ぶらりと伏見へ。
GWの前半ですが、雨上がりだったせいか意外と観光客は少なく、ゆっくり回れました。
「灘の男酒、伏見の女酒」といわれるように、ミネラル分の少ない「御香水」を使った伏見の酒は、優雅でまろやか。
芳醇な香りと甘みがあって、わたし好みのお酒です。
これからの季節、キリっと冷えた吟醸酒をグラスに注いで楽しみたいですね。
月桂冠の酒蔵(1909年築)を改装した展示施設「月桂冠大倉記念館」。
酒造りの工程のビデオ上映や、京都市有形民俗文化財の酒造道具の展示などを楽しんだ後は、試飲などもできるお酒のテーマパークになっています。
虫籠窓、出格子、犬矢来、厄除けの粽に杉玉……風情のある素敵な建物ですね。
こちらは大正時代の1917年に建てられた月桂冠旧本社「伏見夢百衆」。
落ち着きのあるシックな黒壁。
伏見の酒蔵は三十石船から積み荷がしやすいように川の近くに建てられているため、建物の石段や基礎を高くして水害から守っているそうです。
伏見夢百衆の中はカフェとお土産物のショップになっていました。
ガラスをはめ込んだ木製欄間など和風のデザインですが、天井を高くして椅子やテーブルを配置するなど、和洋折衷の趣きもあります。
格子窓から差し込む光がノスタルジックで、朝ドラのロケに使えそう。
家飲み用に購入したのは、豊澤本店の「純米吟醸 豊祝」と京姫酒造の「純米吟醸 匠」。
この日の夕食に「豊祝」で乾杯したのですが、果実味のある華やかなお酒でした。
こちらはレストランが併設された黄桜の博物館。
なかに入ると、「カッパッパ~ ルッパパ~、ちょっと黄桜かっぱっぱ~」という懐かしい曲がヘビロテでかかっていて、聴くだけで酔っ払ったような陽気な気分になります♪
小島功のカッパのイラストやカッパのフィギュアも展示されていました。
面白かったのは、日本全国のカッパ伝承分布図。
それによると、九州・四国・東北に多くて、近畿圏にはカッパの伝承がほとんどないとのこと。
そういえば、関西ではカッパの言い伝えのある場所とかあまり聞かないですよね。
どうしてだろう?
黄桜のカッパギャラリーでも酒造りの道具の展示や酒造り工程のビデオ上映などがありました。
酒蔵めぐりをしていると、ひときわ目を引く中国風の朱塗りの建物が!
なんかエキゾチックですねえ。
門をくぐると、雨上がりの新緑がみずみずしい。
鐘楼も変わっています。
梵鐘が埋まっているような……?
江戸時代には三十石船に時を知らせていた梵鐘は、第二次世界大戦中に軍に拠出されたそうです。
多くのお寺では戦後新たに鐘がつくられたりしていますが、こちらではつくられず、こんな形になったのでしょうか???
摂社のセレクションも独特です。
龍宮門、飛龍大権現、お寺の本尊は弁財天……水にゆかりのあるお寺のようです。
良質な伏流水が流れていることから、かつて伏見は「伏水」と呼ばれていました。
水運や酒造りなど、水によって発展したこの町では、今も昔も水信仰が盛んなのかもしれません。
「また帰る」という縁起を担いで信者さんが奉納したというカエル石。
京都と大坂をつないだ三十石船の発着点だったこの町では、旅人たちの無事と帰還を祈る気持ちが根づいていたのでしょう。
江戸時代、隠れキリシタンがお茶屋の隠し部屋に置いていたというマリア灯籠が、この寺に安置されてるそうですが、探しても見つかりませんでした。
灯籠の下部に聖母マリアが刻まれているようなのですが。
町全体が昭和な雰囲気に包まれていて、時が止まったかのようでした。
未舗装の路地がけっこうあったり。
このレトロな銭湯も現役バリバリで、高い煙突からは煙が出ていました。
アーチ窓の先端がステンドグラスになっていて、昔の銭湯はおしゃれだったんですね。
さて、長くなったので、寺田屋探訪は別記事にします。