2023年5月21日(日)
幕末の史跡をめぐって高瀬川沿いを探索したあとは、昭和の面影を残す喫茶ソワレへ。
戦後間もない1948年に開店した築75年の老舗の喫茶店。
花遊小路で雑貨商をしていた元木和夫氏が創業し、2代目の英輔氏がお店を引き継いだそうです。
外壁の壁には白い鳥と星が瞬くロマンティックなお店です。
フランス語で「夜会」を意味する店名にたがわず、夜の仮面舞踏会を思わせる青い空間。
この青い照明は、創業者の友人だった染色家の上村六郎氏から「青い光は女性を美しく、男性を若々しく見せるから、店の照明に使ってみては?」とのアドバイス受けたことから始まったといいます。
そのため昭和の昔には、「ソワレ」がお見合いの場所にも使われたそうです。
青い照明と東郷青児、昭和のレトロ感たっぷりの店内。
お水のグラスにも東郷青児の作品。かわいい!
ソワレのコースターやタンブラー、コーヒーカップに使われているイラストは、東郷青児がソワレのために描いたもの。
この日注文したのは、ソワレ名物のゼリーポンチとゼリーコーヒー。
キャー、キャーッ❤ 美しすぎてテンション上がりまくりです⤴
ソワレのメニューには「ゼリーの誘惑」シリーズの誕生秘話が書かれていました。
それによると;
開店当時、喫茶店は現在とは違い紳士が集う場所でした。当店の名物と言われています「ゼリーポンチ」は「若い女性にも来店してほしい」との願いから、目でも楽しめるメニューとして1975年から始めた5色ゼリーメニューの一つです。
「ゼリーの誘惑」と称しているメニューは、2代目オーナーの妻 元木成子(1937年ー1991年)が考案したものです。幼かった牛乳嫌いの娘のために5色のゼリーを入れ作ってみた「ゼリーミルク」をメニューとして提供したのが始まりで、その後、ミルクの代わりに神戸産の地サイダーを使用した「ゼリーポンチ」をメニューに加えました。青い光の中でキラキラと輝くゼリーメニューを、是非一度ご賞味ください。
宝石のようなゼリー。
ソーダが爽やかで、ゼリーは甘さ控えめ。
魅惑的な青い空間で、大好きな人と食べるゼリーポンチはロマンティックで、夢心地の気分になります。
カルメンたちが踊る妖しげなショーケース。
ガラスや照明の使い方のセンスが素敵。
葡萄の照明もきれい。
彫刻にも葡萄のモティーフが。
店内壁面にある木の彫刻は、創業者の友人で彫刻家の池野禎春が手掛けたもの。
創業者の元木和夫氏は、いろんな芸術家と親交のある文化人だったんですね。
後ろ髪を引かれる思いでお店を出ると、常連だった歌人の吉井勇の自筆の歌碑を店先で発見。
「珈琲の香にむせびたるゆうべより夢みるひととなりにけらしな 吉井勇」
この歌のとおり、美酒に酔ったような夢見る気分にさせてくれる非日常空間でした。