北野天満宮 ~七不思議めぐり

2023年10月7日(土)

一条通で妖怪の世界を堪能したあとは、日本三大怨霊としても名高い菅原道真を祀る北野天満宮にお参りしました。

大鳥居

高さ11.3メートルの大鳥居。

現在の一の鳥居(大鳥居)は大正時代に建てられたもので、いまの二の鳥居が本来の一の鳥居だったそうです。

荘厳な構えの鳥居ですね。




右近の馬場の松林

大鳥居をくぐると、参道脇に松林が続いています。

この松林には北野天満宮創建にまつわる伝承があります。

菅原道真の没後から40年ほど過ぎたころ、少女と男童に道真の霊が憑依し、「北野の右近の馬場に一夜にして千本の松が生えた場所があるから、そこに祠を建てるように」というお告げがありました。
こうして建てられたのが北野天満宮だと伝わります。


参道脇の青々とした松林は「一夜にして生えた千本松」の名残りなんですね。






撫牛

牛は天神さまの神使なので、境内の至るところに牛の像が置かれています。

牛が天満宮の神の使いになった理由には「菅原道真が丑年だったから」とか「道真の遺体を牛車で運ぶとき、車を牽く牛が座り込んだため近くの寺に埋葬したから」などの諸説がありますが、なかでも興味深いのがインドのシヴァ神にちなんだ説です。

菅原道真は「天満大自在天神」の神号を持ちますが、大自在天とはヒンドゥー教シヴァ神が仏教に取り入れられたものであり、シヴァ神大自在天)が乗る聖牛も天神信仰に取り入れられて神の使いとなった、という説です。


シヴァ神は日本に入って、スサノオと結びついたという説もあり、このあたりを追究していくと面白そう。




花手水

10月なのでカボチャをあしらったハロウィーン仕様の花手水。

ヨーロッパのケルトのお祭りを天満宮の花手水に取り入れるなんて、宗教に寛容で包容力のある日本人らしい感覚です。






御本殿

本殿の両側には、あの「飛梅伝説」で有名な紅梅と老松の神木が植えられています。

飛梅伝説」とは次のようなものです。

菅原道真の京の邸宅には梅と桜と松が植えられていました。道真が大宰府への出立に際して「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな」と詠んだところ、梅は敬慕のあまり大宰府へと飛びますが、桜は悲嘆にくれて枯れてしまいます。

松はどうしたかというと、道真が「梅は飛び 桜は枯るる世の中に 何とて松のつれなかるかん」と詠んだことから、松も名誉挽回とばかりに大宰府に向かったのでした。


北野天満宮の御神木となった飛梅「紅和魂梅」はウイルスに感染した場合に備えて、住友林業の技術支援によりクローン化されているそうです。




八幡造

社殿(国宝)は、入母屋造の「本殿」と「拝殿」を「石の間」が接続し、さらに拝殿に左右に「楽の間」が付属するという、複雑な八幡造の建築様式になっています。






北野天満宮には「天神さまの七不思議」が伝わっているので、ちょっとした探検気分でめぐってみました。

七不思議① 影向の松

七不思議その1「影向の松」は、大鳥居をくぐってすぐのところにありました。

この松は北野天満宮の創建当時からあると伝わる御神木で、立冬立春前日までに初雪が降ると天神さまが降臨して、雪を愛でながら歌を詠むといわれています。

今でも初雪が降った日には、硯と筆と墨をお供えする「初雪祭」が営まれるそうです。





七不思議② 筋違いの御本殿

七不思議その2「筋違いの御本殿」

参道をまっすぐ進むとその正面に本殿があるのが一般的ですが、北野天満宮の場合、参道を直進すると地主神社があるため、本殿へ行くには曲折しなければなりません。

天満宮の創建以前から祀られていた土地の神さまを尊重するよう配置されているんですね。





地主神社

こちらが、土地の守り神・地主神社。パワーの強い神さまです。





七不思議③ 星欠けの三光門

七不思議その3「星欠けの三光門」。

三光門の名前は「日」「月」「星」の彫刻に由来しています。

このうち「日」と「月」の彫刻はありますが、「星」の彫刻は存在しないため「星欠けの三光門」と呼ばれているようです。


というわけで、「日」「月」「星」の彫刻を探してみました。




三光門の「日の出」

こちらは「日の出」をあらわした赤い太陽の彫刻です。





三光門の「日の入り」

こちらは「日の入り」をあらわした黄色い太陽の彫刻。




三光門の「三日月」

そして、こちらは「月」をあらわす銀色の三日月の彫刻です。


たしかにどこを探しても「星」の彫刻はありません。

じつは、北野天満宮が建てられた平安中期には、大極殿が千本丸太町にあったため、天皇大極殿から天満宮に向かってお祈りをするとき、三光門の真上に北極星が輝いていたから「星」をあえて彫刻しなかったといわれています。


月と太陽が彫刻された壮麗な門の上に北斗七星と北極星が輝いていたなんて、なんだかロマンティック☆彡☆





七不思議④ 大黒天の灯籠

七不思議その4「大黒天の灯籠」

三光門の斜め前に立つ石灯籠の台座には大黒天が刻まれています。

大黒天の口に小石を載せることができたら、その小石を財布に入れてお祈りするとお金に困らないとされています。

また、「落ちない」ことから合格祈願にもご利益があるそうです。

とはいえ上の写真のように、参拝者が小石祈願をしてきた結果、大黒様の口がすっかり摩耗していて、もはや小石を載せるのは無理っぽい感じです(笑)。





七不思議⑤ 唯一の立ち牛

七不思議その5「唯一御立牛」。

牛の像が多い北野天満宮境内ですが、ほとんどの像が臥牛(伏した牛)なのに対し、ただひとつ、拝殿の欄間の中央に刻まれた像だけが「立ち牛」になっています。

社殿を守護する牛なので、今にも飛び出してきそうなポーズをしているのかもしれませんね。




七不思議⑥ 裏の社

七不思議その6「裏の社」

天満宮の本殿は正面だけでなく、背面にも「御后三柱」という神座があります。

ここに祀られているのは、菅原家の祖神・天穂日命アメノホヒ)、道真の祖父・菅原清、父・菅原是善の三柱です。




七不思議⑦ 天狗山

七不思議その7「天狗山」

撫でると一つだけ願いが叶うという一願成就の「牛社」の奥にある小高い丘「天狗山」です。

その昔、この辺りには天狗がいたのでしょうか?





東向観音寺

七不思議めぐりがコンプリートしたので、かつて北野天満宮の神宮寺だった東向観音寺にも参拝させていただきました。

東向観音寺は十一面観音を本尊とするお寺ですが、境内には珍しいものが安置されています。




土蜘蛛灯籠の火袋

こちらが東向観音寺境内にある「土蜘蛛灯籠の火袋」。

もとは一条七本松にあったそうですが、灯籠の所有者の家運が傾いたのは「土蜘蛛の祟りだ」とされたことから、東向観音寺に奉納されたと由来碑に記されていました。


以前もどこかのお寺を訪れた際に、書院に飾られていた幽霊画について似たような逸話があったから、縁起が悪そうな怖いものはお寺に奉納されることが多いのでしょうか。


そもそもなぜ「土蜘蛛灯籠」と呼ばれるようになったのか、謎が謎を呼んで興味深いです。