2021年10月20日(水)
衆院選の公示から数日たち、各陣営の選挙活動もたけなわ。
この日は、わが街のホテルにおいて新旧の経済再生・コロナ対策大臣による応援演説会が開かれた。
やっぱり、西村さんは演説がうまいなぁ。
菅前総理が西村さんに国会答弁を任せっきりにしたのも、うなずける。
西村さんの演説はところどころにユーモアを織り交ぜつつも知的で品があり、ソフトな語り口が耳に心地よく、内容も明快でわかりやすい。
頭脳明晰で、頭の回転の速い人だと思う。
穏やかに話しつつも、大事なところはハリのある声で力強く訴えかけ、聴衆の心に働きかける。
メリハリのある演説だ。
今回は入閣されなかったけれど、官房長官か外務大臣としてご活躍する西村さんをぜひ見てみたい。
細身で繊細そうに見えるが、学生時代はボクシング部にいただけあって、心身ともに打たれ強く、相当タフなのではないだろうか。
あの超ハードなコロナ対策や国会対応を見事に乗り切ったことでも、そのタフさは実証済みだ。
総裁選で高市早苗さんの推薦人になってくださった時から好感を持っていたが、演説を聞いてますますファンになった。
山際大臣の演説でとくに印象に残ったのが、岸田首相が掲げる「新しい資本主義」の説明だ。
山際さんはこの「新しい資本主義」を、近江商人の経営哲学「三方よし」にたとえた。
「三方よし」とは、「売り手によし、買い手によし、世間によし」を指す。
現代の言葉でいうと、「売り手(会社)も、買い手(消費者)も、世間(社会)も、みんなが満足する日本型資本主義」ということになるのだろうか。
それは、モノを言う株主の顔色ばかりをうかがい、投資家の利益を最優先する「株主資本主義」から脱却し、顧客や従業員、地域社会や国家への貢献を目指す「公益資本主義」へ移行することを意味するのだろう。
私の父はパナソニックの社員だったが、松下幸之助さんがご存命だったころの松下電器は、まさにそうした日本型資本主義の典型的な企業だった。
社員は企業の一員として誇りを持って働き、企業は社員一人ひとりを家族のように大切にした。
日本型資本主義とは、みんなが誇りと希望をもって働き、「企業と社員と社会」、そして「国家と国民と企業」がたがいに貢献しあって好循環を生み出す、そんな資本主義なのかもしれない。
松下政経塾で学んだ高市早苗さんは、その著書『美しく、強く、成長する国へ』のなかで、松下電器の「遵奉すべき七精神」についてこのように述べている。
「企業は、社会全体の富と幸福に寄与すること。しっかりと利益を上げて、納税をする責務があること。いかなる逆境にあっても、企業と個人の能力を向上させること。感謝の気持ちを持ち続け、安らかに喜びと活力を持って暮らすこと。松下幸之助氏が、業績悪化の時でもリストラを回避して「終身雇用制」を守ることにこだわっておられたことを、改めて思い出している。」
アメリカ型の株主資本主義からの脱却と、日本型公益資本主義への移行。
これこそが「失われた30年」を克服するカギの一つとなるのではないだろうか。
少なくとも株主資本主義を排して、日本企業が海外投資家にしゃぶり尽くされ、スカスカになるのを食い止めなければならない。
一刻も早く。