2022年7月20日
航空自衛隊のコンサートに行ったついでに、大阪城公園も散策しました。
2017年に商業施設として生まれ変わった「ミライザ大阪」。
もとは1931(昭和6)年に陸軍第四師団司令部庁舎として建てられたものです。
戦後は、大阪市警視庁(のちに大阪府警本部)として使用され、その後、大阪市立博物館として使用されました。
私がここを訪れたのは学生時代以来なのですが、当時のカビ臭い博物館からすっかり様変わりしていました。
外観は、鋸壁やタレットなど、中世ヨーロッパの古城を思わせる堅牢な佇まい。
車寄せの上に設けられたバルコニーは、市ヶ谷の陸軍参謀本部の造りに少し似ていますが、よりクラシカルな趣きがあります。
いまにも帝国陸軍の軍服に身を包んだ将校が颯爽と歩いてきそうな、そんな建物ですね。
戦前・戦中の様子をイメージしながら建物内を探索。
昭和初期の建物って、ほんとうに美しい。
繊細な装飾と重厚感のあるデザイン。
こういう空間に身を置くだけで、胸がときめいてきます。
青を基調としたステンドグラスの丸窓に、アールデコ調の瀟洒な照明。
これが陸軍の庁舎だったなんて、凄くないですか?!
戦前の日本人がいかに国防を重視し、お金をかけ、軍人さんたちを敬っていたのかがよくわかります。
筒形ヴォールトの天井にアーチがリズミカルに連続して配されています。
ダークな腰板と白壁のバランスが絶妙。
老朽化や耐震構造の脆弱さから古い建物がどんどん取り壊されていくなか、こうしてきれいに保存して活用し、一般公開されているのは素晴らしいと思う。
維新の市政・府政については批判するべきところもあるけれど、民間活用によって税収を得ながら古い建物を保存するというこのプロジェクトは、改革政党を標榜する維新の面目躍如というところ。
ただし、インバウンド需要が減って、ミライザ大阪内の飲食店や土産物店の経営はちょっと厳しそうだけど。。。
ミライザ大阪を出ると、目に飛び込んでくるのが大阪城。
1931年に再建されたとはいえ、秀吉好みの雄壮でゴージャスなお城です。
本丸の正門にあたる桜門(重要文化財)。
徳川幕府による大阪城再築工事が行われた1626年に創建されましたが、明治の大火で焼失し、1887年に帝国陸軍が再建して現在に至ります。
桜門の両脇にある巨石は「龍虎石」と呼ばれ、江戸時代には、雨が降ると左と右にそれぞれ龍と虎の姿が現れるとされたそうです。
左右の岩に映る龍虎の影が、陰と陽のパワーでお城を守護してくれているんですね。
桜門の入口には、本丸の正面を守るため、石垣で四角く囲まれた「桝形」という区画が設けられ、上部に「多聞櫓」(明治の大火で焼失)が建てられました。
桝形正面の石は「蛸石」と呼ばれる大阪城内最大の巨岩で、表面積約36畳、重さ約108トンと推定されています。
ギザの大ピラミッドの積石が1個2.5トンくらいとされているから、その巨大さがケタ違いなのが分かりますね。
現在の大阪城の石垣の多くが当時のものなので、桃山~江戸時代の石積技術の高さが実感できます。