2023年11月23日(木)新嘗祭
宇治上神社・宇治神社をめぐった後は、紅葉の名所・興聖寺にお参りしました。
興聖寺の創建は1233年。宋から帰国した道元禅師が伏見深草に閑居したのが始まりといいます。
日本で最初に開かれた禅宗寺院であり、日本の曹洞宗最古の道場とされ、境内は藤原氏ゆかりの極楽寺の跡地と考えられています。
まるで龍宮城の入口のような異国情緒あふれる山門(龍宮門)には「どの修行僧も龍のごとく大成しますように」という願いが込められているそうです。
肝心の紅葉は……。
今年は天候不順のため、青紅葉から急に茶色く枯れる楓が多かったのですが、それでもところどころに綺麗に色づいた紅葉が見られました。
興聖寺には、ピンと張りつめた厳粛な冷気がたちこめていて、参道を歩いていると、身が引き締まる思いがします。
「興聖の晩鐘」として宇治十二景のひとつに数えられている鐘楼。
夕日に照らされた鐘の景色はさぞかし絵になることでしょう。
境内は法堂を中心に、庫裏や僧堂が回廊でつながっている造りになっています。
宝物殿には宇治十帖ゆかりの「手習の聖観音」が安置されています。
いかにも禅宗寺院らしい花頭等のついた法堂。
庭園も素敵ですね。
左手の建物が僧堂。その奥の山肌の墓地には道元禅師の御真骨が納められている墓所があります。
興聖寺の庫裏では、典座が今でも薪を割って竃に火をくべて食事の支度をするというから驚きです。
大変な手間暇をかけて一杯の粥を作る。そして、その粥を静かに、丁寧にいただく。
興聖寺の公式動画には庫裏での調理の様子や僧侶たちの食事風景が映っていますが、お粥をいただくときの所作がとても美しく、私も日頃からひと口ひと口を感謝の気持ちを込めて、丁寧にただこうと思いました。
興聖寺の近くにある恵心院にも参拝。
822年創建の真言宗の古刹で、十一面観音を本尊とします。
『源氏物語』宇治十帖で浮舟を助けた「横川の僧都」のモデルとされる恵心僧都源信によって、1005年に再興されました。
枝ぶりの見事な大銀杏。
本堂は1676年に造営されたもの。
境内には観光客の姿はなく、ひっそりとしていて、いかにも「横川の僧都」のお寺といった佇まいです。
恵心院の鎮守社:白龍大神社。
祠の前の樹木が龍のようにくねくねと枝を伸ばして、龍神さまのパワーを感じます。
この日、最後に訪れたのが、平等院にほど近い縣神社です。
縣神社の創建は不詳ですが、大和朝廷の直轄領だった「県(あがた)」との関連が指摘されています。
宇治上神社・宇治神社と同じく、平等院が建立された際にその鬼門を守る鎮守社となったようです。
樹齢500年、高さ26メートルの御神木。
宇治には見事な御神木が多いですね。
縣神社の御祭神は木花開耶姫命なので、桜のモティーフがあちこちに散りばめられています。
御神燈提灯についている神紋も桜。
本殿の透かし扉にも桜のシンボル。
唐破風の上の獅子口の装飾にも桜の文様が見えますね。
御祭神にちなんだ「木の花桜」と呼ばれる枝垂れ桜。
春にはあでやかに咲くのでしょう。
樹齢200年、高さ25メートルの銀杏の木。
木花開耶姫と植物たちの優しいエネルギーに満ちた神社でした。