世界遺産 宇治上神社と宇治神社

2023年11月23日(木)

世界遺産に登録された現存最古の神社・宇治上神社にはじめて訪れました。

宇治上神社大鳥居

朱塗りの立派な大鳥居。


宇治上神社の御祭神・菟道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと)は、応神天皇の御子でした。父帝に寵愛され皇太子に立てられたものの、異母兄の大鷦鷯尊(のちの仁徳天皇)に皇位を譲るべく自害したという、自己犠牲伝説のある神さまです。


仁徳天皇といえば「民のかまど」など美談の多い人物で、この菟道稚郎子自殺伝承も信憑性のほどは定かではありませんが、とにかく仁徳天皇即位の影には菟道稚郎子の死があったようです。




宇治上神社の紅葉

宇治上神社の紅葉もきれいでした!



宇治上神社駐車場の銀杏

大銀杏も黄金色に輝いています。



宇治上神社入口

小さな橋を渡って境内へ。

宇治上神社の境内は、『山城国風土記』に登場する菟道稚郎子離宮「桐原日桁宮」の旧跡であると伝えられています。




宇治上神社・拝殿(国宝)

拝殿(国宝)は鎌倉前期の造営。寝殿造の遺構とされています


背後には仏徳山(大吉山)がそびえていて「古代の神奈備山だったのかな?」と思ったのですが、どうもそうではないようです。





宇治上神社・本殿(国宝)

本殿(国宝)は年輪年代測定調査によって、平安時代後期の1060年頃の造営だと判明したことから、神社建築としては現存最古のものとされています。

一間社流造の内殿3棟が並び、左殿には菟道稚郎子命(子)、中殿には応神天皇(父)、右殿には仁徳天皇(兄)が祀られています。


素朴な佇まいが古式ゆかしい印象を与えていますね。





天降石

本殿の横に安置されている天降石。「岩神さん」とも呼ばれています。

隕石であるという説や磐座信仰の祭祀跡という説など諸説あり、置いた石が落ちなければ願いが叶うそうです。





桐原水

「宇治七名水」のうち唯一現存する桐原水。

お茶の産地として名高い氏は良質な水の湧き出る土地でした。

いまも透明度の高いきれいな清水がこんこんと湧き出ています。





けやきの御神木

推定樹齢300年、高さ27メートルの欅の御神木。






住吉社と香椎社

摂社は住吉社や香椎社など、神功皇后系(九州系)の神さま。

苔むした屋根が古色蒼然とした雰囲気を醸しています。





宇治上神社に参拝したあとは、隣接する宇治神社にもお参りしました。

宇治神社の大鳥居

朝霧橋のたもとにある宇治神社の大鳥居。


宇治神社宇治上神社と二社一体の存在とされ、御祭神は宇治上神社と同じく菟道稚郎子命です。

宇治川の対岸に平等院が建立されると、両社ともその鎮守社になりました。





みかえりうさぎ

宇治神社の神使はウサギさん。

「宇治」という地名は古くは「兎の道」と書いて「兎道(うじ)」と表記されていましたが、平安時代には「宇治」という表記に定着したいいます。

菟道稚郎子が河内から「兎道(宇治)」に向かう途中で道に迷ったところ、一羽のウサギが現れて、菟道稚郎子を先導したことから「みかえりうさぎ」と呼ばれ、のちに宇治神社の御祭神となった菟道稚郎子命の神使になったとされています。

南方熊楠は「兎の群れが通って道になった」ことが「兎道」の由来だという説を唱えています。


そんなわけで境内には至るところでウサギさんの姿が見られます。



手水舎

手水舎の吐水口にもウサギさん。

ウサギ年だからか、今年の春には同じくウサギを神使とする岡崎神社にもお参りできたし、ウサギにゆかりのある神社をめぐることができてラッキーでした♪




智恵の輪くぐり

宇治神社の拝殿前には「茅の輪」ならぬ「智恵の輪」が置かれていました。

この「智恵の輪」は稲穂と藁でつくられています。

「茅の輪」とは意味合いも材料も異なるので、茅の輪くぐりのように八の字にくぐらず、一度くぐるだけで、稲穂の実のように多くの智恵を授かることができるそうです。





本殿前の「みかえりうさぎ」

本殿の前には、可愛い「みかえりうさぎ」の像が置かれていました。





宇治神社・本殿(重文)

本殿(重文)は鎌倉時代後期の造営。

側面から見ると、流造なのがよく分かります。





高良神社

宇治上神社と同じく、宇治神社摂末社住吉神社や高良社(武内宿禰)など、神功皇后系(九州地方)の神さまが祀られていました。


次の記事では、興聖寺・恵心院・縣神社めぐりをご紹介します。