2023年9月29日(金)
尼崎には「寺町」という歴史的エリアがあると聞き、尼崎薪能がはじまる前に散策してみました。
尼崎寺町は、江戸時代に尼崎城の城下町とともに整備され、町中に散在していた寺々が一画に集められたのが始まりといいます。
尼崎というと、やんちゃな雰囲気を想像していたのですが、こんなにしっとりとした場所もあるんですね。
お城と、薪能と、寺町を一度に体験して、日本の文化を大切にする街なんだなあと感じました。
こちらは尼崎寺町を代表する本興寺。
創建は室町時代。法華宗本門流の大本山で、塔頭が六院もある大寺院です。
時間がなくて奥には行けなかったのですが、開山堂や三光堂、方丈など重要文化財も多いようです。
天下五剣のひとつ「数珠丸恒次」という太刀(重文)も収蔵されています。
ひと際目を引く朱塗りの三重塔。立派なお寺でした。
こちらは臨済宗大徳寺派の廣徳寺。
1390年に京都紫野の大徳寺から尼崎・大物へ移されました。
1531年には細川高国が大物崩れの戦いで敗れて、三好一秀に捕らえられ、この寺で切腹させられたと伝わります。
千手十一面観音を本尊とする、尼崎現存最古の古刹です。
大覚寺の境内をめぐっていると、面白そうな建物を発見!
ん? 蘆刈からくり堂??
解説板によると、『大和物語』に取材した世阿弥作の能《蘆刈》で夫婦再会の舞台となったのが、寺町に移転する前の「大覚寺市庭」だったことから、この「からくり堂」が建てられたそうです。
「蘆刈からくり堂」に登場する人形は、9代玉屋庄兵衛による伝統的なカラクリ人形で、江戸時代の技法と機構を忠実に守って作られているとのこと。ただし、江戸時代のように紐を使って操作するのではなく、コンピュータ制御になっているようです。
毎年節分の日に「蘆刈からくり」の公演が催されるらしく、その様子が以下のYoutubeでも紹介されていました。
「カンデンデン」というお囃子が壬生狂言のようで、素朴な味わいがありますね。
こちらは朱塗りの多宝塔が印象的な長遠寺。
1350年創建の日蓮宗のお寺です。
江戸時代初期の1623年に建立された本堂は重要文化財に指定されています。
流麗な入母屋造の屋根。
1607年建立された多宝塔の中には釈迦如来が安置されているそうです。
尼崎寺町には全部で11のお寺があり、尼崎だんじり祭りで有名な貴布禰神社もあったのですが、時間の都合で足を延ばせず💦
それでも、ちょっとした旅行気分を味わえた楽しい散策でした。