東華菜館

2023年5月21日(日)

京都河原町のランドマークともいえる築100年の近代建築「東華菜館」。
ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計を手がけ、1926年に竣工しました。
ずっと気になっていたので、この日はスパニッシュ・バロックのこの建物を探索してみました。

ファサード

創建当時は牡蠣料理を専門とする西洋料理店でしたが、戦後、北京料理店「東華菜館」へと衣替えをしたそうです。


西洋料理店だった名残りなのか、玄関ファサードにはさまざまな食材をモチーフにした彫刻が散りばめられています。





海の幸

ファサードの彫刻をアップしてみると、こちらは海の幸でしょうか。

もとは牡蠣料理店だっただけに、巻貝や二枚貝などの貝類がたくさん刻まれています。





山の幸

こちらは海の幸のヒツジさん。

西洋料理店だったころには、ラムチョップがメニューにあったのかも?







納涼床

5月なので、鴨川に面したテラスには納涼床が用意されていました。

気持ちよさそう~。

東華菜館は納涼床でも通常料金と同じなので、人気のようです。

私は建築鑑賞が目当てなので、店内の席へ。






玄関回り

玄関回りのデザインも凝っていて見応えがあります。

アーチの中央にはタツノオトシゴ




エントランス


貝を食べるタコの彫刻がユニーク。

ここのレリーフは石材に直接彫った贅沢なつくり。







エレベーター

1924年に製造されたアメリカ製。日本で現存最古のエレベーターです。

時計針式のフロアインジケーターもクラシカルですね。






手動式

昇降も手動式なので、運転手さんが操作します。

目的階に着くと、格子形の蛇腹式内扉を開けてから、外扉を手動で開ける仕組み。

乗り心地は、旧式のメリーゴーランドに乗っているような、アナログ的な暖かみがあります。


故障したら部品も特注だろうし、メンテナンスも大変だろうけれど、大切に使われ続けているんですね。






4階の内装

チャイニーズというよりも、西洋趣味の混じったシノワズリというほうがふさわしい上品で洗練された空間。







4階の天井の意匠

天井のデザインは各階ごとに違っていて、4階はエレガントな色調。





3階の天井の意匠

3階の天井は、若葉色を基調とした明るいデザイン。





窓からの眺め

窓から見える開放感のある眺望。

四条大橋、鴨川の対岸には南座とレストラン菊水、その向こうには東山がなだらかに連なっています。




八芒星のモチーフ

ヴォーリズシグネチャー・デザインともいえる八芒星のモティーフが、ここ東華菜館でも多用されています。

4階の内装にはドアや壁の装飾に八芒星が散りばめられています。




個室のエントランス

個室のエントランス・アーチのデザインは、八芒星をアレンジしたものでしょうか?







階段

階段を縁取る装飾もおもしろい形をしています。






曲線と直線を優雅に組み合わせた天井や手すり、腰壁。

花台などの調度品もヴォーリズがデザインしたそうです。








春巻き

建築が素敵すぎてお料理のことを書くのを忘れていましたが、この日はビール、水餃子、八宝菜、春巻き、チャーハンなどを注文。

どれも上品な味で、油っこいものが苦手な私でも、いくらでも食べられそうなくらい美味しかったです。

人気メニューの春巻きは、具材を薄焼き玉子で巻いて揚げたもので、忘れられない味でした。






東華菜館にそびえるこの塔はエレベーターのマシンルーム。昇降機が格納されています。


お店の人たちも親切で、気持ちのいい空間でした。