伏見稲荷大社

2021年6月2日(水)

伏見稲荷大社は京都の名所のなかでも人気ナンバー1の観光スポット。

コロナ禍前は繁華街並みの人出だったけれど、この日はご覧の通り。

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人ゴミがないと雑気もなく、神さまと1対1で向き合うことができます。
聖地の「気」が肌感覚で伝わってくるようです。





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今月は水無月。夏越の祓いの月。

伏見稲荷では、早くも茅の輪くぐりが用意されていました。
時節柄、いつもにも増してありがたい!





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茅の輪くぐりは、疾病退散と罪穢れを取り除く御利益があるそうです。

楼門をくぐるだけで、自動的に邪気が祓われ、罪穢れが浄化されるのはうれしいかぎり。
人々のメンタルヘルスをケアする、昔の人の智恵ですね。





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キリッとしたハンサムなキツネさん。

狛狐がくわえているのは、おもに稲穂、巻物、玉、鍵の4種類。

それぞれに意味があり、稲穂は「稲成り=イナリ」に由来し、巻物は知恵の象徴、玉は霊徳をあらわし、鍵は米倉の鍵を表現しているといいます。






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インスタ映えすることから外国人・観光客に超人気の千本鳥居も独り占め状態。






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とても幻想的な気分に浸れます。

赤い光に包まれた「茅の輪くぐり」とでもいいましょうか。
崇高な母胎を通り抜けて、心と体が再生していくような感覚。







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西川照子著『京都異界紀行』によると、伏見稲荷大社には、秦氏系と荷田(かだ)氏系の二つの縁起があります。

伏見稲荷秦氏系の縁起「餅の的」は;
秦伊侶具という者が餅を的に矢を射ると、餅は白鳥となって稲荷山に飛んでゆき、稲を生やした。その奇瑞をもって伊侶具はその地に「神」を祀る。その社が今の稲荷大社であるというもの。
この縁起からすると、稲荷大社秦氏の神をまつる社ということになります。


もうひとつは、荷田氏の縁起。
荷田氏は、渡来系の秦氏に対して、この里に土着していた氏族です。

その荷田氏の「稲荷縁起」は以下のようなもの。
身長2.4メートルという異形の翁がいた。翁は、人の女と二人の童子を連れて、稲束を天秤棒に掛け、それを担って、弘法大師空海に会いに東寺にやってきた。
翁と空海は、紀州九十九王子の一つ、稲葉根王子ですでに出会っていた。その折、翁は「あなたの守護神となりましょう」と約束する。翁の正体は稲葉根王子に祀られる神・稲葉大明神であった。約束を守るために、翁は稲を担いで、手に杉の葉をもって、空海の住む東寺にやってきた。その後、東寺の杣山(そまやま)に、翁(つまり稲荷大明神)をお祀りしたという。

荷田氏の縁起では、稲荷大明神の正体は稲を荷った翁。「稲を荷った」ので「稲荷」の表記が生まれます。
秦氏の縁起では、稲が成ったので「稲成り(イナリ)」と呼んだとされています。


秦氏がいなければ、いまの京都も、日本も、日本の文化・芸術もなかったことでしょう。
宗教民俗学的にも興味深い氏族です。

秦氏については、これからじっくり探っていこうと思います。